居宅介護支援で働く
スタッフの声

居宅介護支援で働くスタッフの声

居宅介護支援で働くスタッフに職場の雰囲気、居宅という仕事、やりがいなどなど語ってもらいました。

「居宅」ってどんな仕事?

居宅って主にどういうことをするのでしょうか?

坂恵

ケアマネージャーって聞いたことありますか?

聞いたことあります。

大西

それです。

坂恵

利用者さんの体の状態が悪くなったり、自宅での生活が厳しくなると、介護保険制度(介護が必要になった方を社会全体で支える仕組み)のサービスを受けるために要介護認定を申請するんです。その手続きのお手伝いをして認定調査を受けていただくと、要介護認定の結果が7段階で出ます。部分的に介護が必要な一番軽い人が「要支援1」で、寝たきりのような一番重たい人が「要介護5」。あなたがどのランクなのか、認定結果は介護保険証で分かるんですね。ランクによって使える点数が決まっているので、その点数のなかで利用者さんが困ってることに対して「こういうサービスが使えますよ」って案内して、サービスを手配して計画を立てていく仕事です。手配するのは例えば、「ヘルパーさん」「デイサービス」「訪問看護さん」。「ショートステイ」という施設に泊まりに行くサービスもあります。

「計画を立てる」って大変じゃないですか?

坂恵

大変です(笑) 求めているものが皆さんそれぞれ違うので、その人が求めているものに合うような形で過ごしていけるよう、一緒に考えてサービス利用に繋げます。「足が悪いから歩けるようになりたい」のであれば、「リハビリがあるデイサービスに行ってもらう」とか、「リハビリの資格を持っている人に訪問してもらう」とか。「家で一人でお風呂に入れなくて困っている」のであれば、「デイサービスでお風呂に入る」とか、「ヘルパーさんに来てもらって入る」とか。寝たきりであれば「『訪問入浴』という方法もあるよ」と提案して、組み立てていきます。

職場の雰囲気はどう?

職場の雰囲気はどうですか?皆さん時間がバラバラだと、なかなか顔を合わせない方もいると思うのですが。

大西

こういう機会があれば来るけど、持ち場がそれぞれ違うので、3人集まったら「あ、そろったね」みたいな。

じゃあ久々にそろったのでしょうか?

大野

「久々」ってどれぐらいのことを言うのか分からないけれども、2,3日ぐらい……?大西さんとは会ってるけど坂恵さんとは会ってないとか、坂恵さんとは会ってるけど大西さんとは会ってない、というのはあります。一応、事務所当番が曜日で決まっていて一人来ることになってるんですけど、どうしても来れない時もあるので。

普段、他部署の従業員方との関わり合いはありますか?一緒にごはんを食べたりとか。

坂恵

ないね。

大西

本当にみんな事務所に帰ってこない(笑)

確かに、事務所に入らせてもらった時、広いのに人がいなくて驚きました。

大野

誰もいない。

大西

みんな現場(笑)

その分、普段のコミュニケーションで意識していることはありますか?

大野

部署が違うとそれぞれみんな役割が違うので。

坂恵

例えば、利用者さんが「訪問介護のヘルパーさんを利用する」とか「訪問入浴を利用する」となるとメッセージを送り合ったり、そういう仕事の面でのコミュニケーションはとります。でもプライベートとなると、みんな仕事の時間も全然違うので、他部署の人とどこかに出かけるというのはなかなか無いですね。

大野

休みの日も違うしね。

部署は自分で選べますか?

坂恵

持っている資格によります。ケアマネージャーの資格を持っていないと居宅の仕事はできません。

「居宅」という仕事

大西

利用者さんが退院間近になると、病院の相談員から連絡が入ってくるので、私たちは在宅ですごす為の準備をします。

なるほど、毎日忙しいですね。いろんな方のことをずーっと考えてなければならない。

大西

そういう仕事なんです。みんなだいたい35人以上の利用者さんの担当を持っているんだけれども、そうなると個人で予定を立てて個人で動くので、遭遇すると「会ったね(笑)」となるんですね(笑) でもグループチャットで繋がっているので、情報のやりとりで困ることはないです。

でも5分に1回ぐらい事務所に電話がかかってきていますよね。

大野

そうですね、作業してても絶対途切れるもんね。

大西

途切れるね(笑)

大野

絶対に(笑)

大西

行政や病院から電話がかかってくるのは仕方がないけれども、例えば、個人の担当利用者さんの娘さんとなら「LINEでやりとりしよっか(笑)」と、その時々それぞれに合ったツールでやりとりをしています。

確かに、外出している間に事務所に電話をかけられていても対応できないですよね。

大野

はい、なのでよく携帯電話を使ってますね(笑)

大西

常に仕事を繋ぐのがこの仕事なので、常に電話、7割電話ですかね(笑)

病院と個人の間にいる立ち位置、橋渡し役なんですね。

大西

ヘルパー事業所、デイサービス、福祉用具さんなど、それぞれを繋いでいくのが私たちです。

大野

だからそれだけ電話は多いですね。介護職のなんでも屋さんですね(笑)

「居宅」を選んだ理由は?

どうして「居宅」という仕事を選んだのでしょうか?ケアマネージャーをしようと思ったその時の気持ちを教えてください。

大野

昔から介護職に携わっていて、ケアマネージャーになって5年ぐらい、介護職全体だと15年ぐらいになります。介護福祉士などいろいろな必要な資格を取得してヘルパーさんをしていました。すると次の段階に進みたくなって。介護職によっても施設で過ごしたり、在宅で過ごす居宅があったり、いろいろな形があります。だからいろいろな仕事をして、内情を理解して、いろいろな経験をしたくて。そこから最終的にケアマネージャーへとたどり着きました。

大西

私は2000年に開設した介護保険制度と同時にケアマネージャーをし始めたので、22年。その前は看護師として病院に勤めていて、訪問看護もしていました。訪問看護を続けているうちに制度ができてなんとなく始めましたけど、どうして続いてるんでしょうね(笑) 訪問看護もして訪問入浴もしてきましたが、面白いからでしょうかね?(笑)

「居宅」のやりがい

なぜ続いているかはきっと「やりがい」があるからだと思うのですが、言葉にするならどこに「やりがい」を感じますか?

大西

高齢者が多いので、人生の終盤の方たちを相手にしてるじゃないですか。だから片足が動かなくてもすごく物忘れが出てきていても、「最後はやっぱり家で過ごしたい」と言われたりして。そこで病院に任せるんじゃなく、なんとかしよう、助けようとかかわれるのが面白くて。やりがいになってるんでしょうね、きっと。

坂恵

大変なことがほとんどで仕事中に泣きそうになることも多いんですけど、その中でも時々、すごく感謝していただけたり言葉をもらったりすることで、「あ、ちゃんと上手くいったんだな」と実感できるので、なんとか続けてこれています。でも大変なことのほうが多いです(笑)

「居宅」をしていてつらかったこと

では、つらかったことを教えてください。

坂恵

自分が良かれと思って利用者さんのために動いたことが苦情になったことがありました。自分の中の常識を超えるようなことを言われたりされたりすることもあるので、そういう時はちょっとつらいですね。

大西

価値観が全然違うところに「これが素晴らしいじゃん」とこちらの価値観をぶつけると、ご家族から「何を言ってるんだ、あんなこと言いやがって」と悪い方に取られて裏目に出てしまったりとかね。「そんなつもりじゃなかったのに」と言っても出た言葉はもう戻らないので、ご家族からすると「あの人が言いました」となりますよね。犯人扱いぐらいに発展する場合もあって、そういう時がつらいかな、しんどいかなと思います。

大野

「信頼関係ができている」と普段のやりとりから思っていても、それこそ「あの人が言いました」と犯人扱いされて担当変更されたり、「えっ?何で?」と理解できない範囲のことが起こったり、そういった時につらいですね。

「居宅」をしていて学んだことは?

続けていてできるようになった等、学んできたことや成長できたことはありますか?

坂恵

利用者さんのことを考えるといくらでもできることがあります。しかし、会社の一従業員という立場と、あくまでも私たちの仕事は介護保険制度がベースにあるので、利用者さんの求めること全てを叶えてあげられない。「それは私にはできないことだからここに聞いて」と提案したり教えたりすることはできます。でも「ちょっと具合が悪いから来てほしい」と急に呼ばれても、行ってあげたいのはやまやまだけれども24時間365日駆けつけることはできないです。昔の私はそれをしてしまっていたのですが、20年この業界で働いてきて、最近ようやく自分の中でストップが利くようになってきました。ケアマネージャーをし始めた頃はそこまでする必要がないことまでしてしまっていましたが、何もかも自分で背負ってはいけないんです。かっこよく聞こえるかもしれませんが(笑) 最近その辺りは冷静に判断できるようになったり、お二人に相談したりして一旦ストップするようにしています。

大野

他にも、ご家族を巻き込んで対応しなければならないことを、こっちで全てしてしまったり。そこはご家族が負担しなければならない部分じゃないの?とか。対応しすぎるとどこまでもしすぎてしまう、できてしまう。かと言って担当している他の利用者さんも同じように対応していたら30何軒も担当できないので、セーブしながら動かなければならないです。

坂恵

ケアマネージャーの担当って交代することがあるんですね。例えば退職する方が対応しすぎていると、引き継ぎを受けた時にすごく困るんですよね(笑) 「前の担当者はやってくれたのに、お前はやってくれないのか」と言われたり。私もその利用者さんを一生担当するかどうかは分からないので、その辺りは制度に則って、することが必要か考えます。利用者さんに良く思われたければいくらでも対応してあげることはできるんですけど。

大西

言いなりになっておけば良いんだけどそういう仕事ではないし。対応しすぎて「どうしよう」となった場合、「命にかかわらないことは待ってもらってもいいじゃん」とやり取りしたりします。そういう、3人でワンクッション置くことができるのが良いです。

今後どうなりたい?

現段階で今後どうなりたいか、一言ずつお願いします。

大西

私は「困ったことがあっても、『サポートクラブゆう』さんのケアマネージャーに相談したらなんとかしてくれるよね」という風に広めたいですね。昔は垂水区で3人でケアマネージャーをしていましたが、この事業所に来てからはまだ1年。ネームバリューもまだまだ浅いので、「あの3人がいるからなんとかしてくれるよ、相談してみて」と言ってもらえるような、そんな事業所になってほしいと思います。

大野

定年まで頑張ります(笑)

坂恵

この3人でこの雰囲気のまま、できる限り続けられたらいいなと思います。